2014年(平成26年)9月・秋 37号
発行所:株式会社 山田養蜂場 http://www.3838.com/ 編集:ⓒリトルヘブン編集室
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恵那市には生涯学習による街づくり活動として、市民三学というのがあります。佐藤一斎さんという儒学者が、恵那市の岩村という所の出身で、吉田松陰の先生の先生。一斎さんは、幕末の優秀な人たちを教えた師匠の先生だったらしいんです。小泉純一郎さんが総理大臣の頃に、佐藤一斎さんの「言志四録」について述べたことを期に、まちづくりの一環として「恵那市は一斎さんの生まれた所だ」という風になって、三学のまち恵那市ということで……。
「言志四録」は、一斎さんが40年余にわたって書いた語録なんです。「少くして学べば、則ち壮にして為すことあり。壮にして学べば、則ち老いて衰えず。老いて学べば、則ち死して朽ちず」という言葉が有名ですが、恵那市の市民三学の精神はそっから始まっとって、市民三学中野方委員会が立ち上がり、佐藤一斎とは何ぞやということになったのです。1)読書のすすめ 2)求めて学ぶ 3)学んで生かす というのが市民三学運動の3つの柱。
それで、市民三学中野方委員会の1年目の年は、一斎さんの生まれた岩村の資料館へ行って、ついでに酒蔵に寄って帰ってきた。2年目は、リニアの勉強と名古屋水族館。そういう出かけて、ちょっと見てきてというのをやっとったんですが、委員の中のひとりの方が、隣の蛭川に「蛭川かるた」っていうのがあって、子どもたちが素晴らしいかるたで遊んどる。「中野方でもぜひ作りたい」って、コミュニティセンターに見えたんですよね。「ああ、それは良いね」って、1回会議に掛けたんですよね。だけど、反応が悪いんですよね。「かるた、ふん」という感じで、「お金はどうなるんだ」と心配する人も居たんですよ。お金は何とかして、やるだけやってみようという風で進めたんです。作ったら買って貰うことも考えて、何とか進めました。
作りたいと言う以上、その人も、調べてきてくれたんですよ。隣の蛭川では、かるたに、どういうところが絡んどるよってことや、岐阜県内だけで41の郷土かるたが出とるってことも。群馬県に日本郷土かるた研究会というのがあって、そこの先生にも来てもらい講演会もしてもらった。私たちで、お勉強もしました。
昔、戦後すぐの時、群馬県に「上毛かるた」ちゅうのがあって、口に出して郷土のことを言うちゅう、そのことがいい。中野方でも作りたいって、どんどんそうなって。小さい時に口に出して言うことの素晴らしさを、私たちも学んだのでした。
隣の蛭川が、何でかるたを作ったかちゅうと、中津川市に合併しちゃう蛭川は、お大尽の村だったんですよ。別に合併しなくても……。でも、合併しちゃったので、地域として何か残したいという思いがあって作られたそうです。
いよいよ、かるたを作り始めますということで、まず、題材探しということで、4月に町民に呼びかけました。中野方町の有名なものとか、自慢したいもの、大事にしたいもの。6月に題材アンケートを回収して、その結果、例えば、笠置山というフレーズは76も出てきたとか、中でもヒカリゴケ、物見岩とか千本杉、石積みとか黒鍬、なごみの家、棚田が125ということかな。中野方川というだけで色々。昔の懐かしい風景というのだと、お見合いとか藁草履なんていう人もおるし。最終的に題材が1646票来たんですよ。かるたは、「ん」とわ行の「を」がないんで、44枚。題材を1646から66まで絞り込んで、それで今度は、その題材を元に町民の方に句の募集を掛けたんです。群馬大学の先生を呼んで勉強会もしました。
10月に読み札の句を回収して、選定委員会30人による選定をしたんですよね。出てきたのが624句。そっから又、44に絞らないといけないんですよ。こっから、又、項目別に分けるんですよ。大ごとだったですよ。中野方の土地に関するもの、それから歴史に関するもの、伝説、産業、文化、中野方のこれから、未来みたいなですね。選定委員には有識者も呼んどるので、みんなから来とる句を、語呂がいいように変えたりもしました。
それと同時に、こんだ裏面で、解説文が付いとるんですよ。例えば、五平餅。その解説文を選定委員に振り分けて、書いていただいたのを又、かるたに合うように検討して。五平餅の読み句は「集まれば 五平で迎える おもてなし」です。これは文化の項目になるんかな。その解説文を元にして、絵の募集になるんですよ。このイメージで絵を描いてきてということになり、そしたら、44枚の札のうち32枚を小学校で引き受けてくれたんです。あとは、一般公募だったんですけど、なかなか出てこなかったんです。それで、公民館まつりなんかに絵を展示してくれる方に、会長さんからお願いして出してもらいました。
刷り上がってきたのは、今年3月。そんで4月になって、みんなの家に配布したということですね。でも、これからが勝負なんです。
言われました、有識者が何人か集まれば、かるた自体はすぐできる。それを、いかに町民を巻き込むかということで、1回1回大変でしたけど、子どもたちの絵が載っとると、お母さん方もね、興味あるし、うちの子の絵なんですとか言ったりして。絵は、誰の絵とか書いてないので、それがもったいないので、こんだ資料を作っとります。その資料を見れば、中野方のことが全部分かるっていう。
来年の新春かるた取り大会で、百人一首も大事なんだけど「中野方かるた」を取り入れてもらって。成人式では、新成人にプレゼントするんです。来年4月の新1年生にも無料配布。今年は、新成人が18人。新入生も確か18人ですよ。ここちょっと子どもは少なかったけど、今、増えているんです。
今、景気良くないですよね、良いところもあるらしいけど。それで、えらいで(大変なので)、皆、戻って来るんかな。そう分析するんですけど。そりゃ私の勝手な分析なんですけど。景気良い時には、別にアパート借りて住んどってもいい訳ですよね。それが、景気が良くないと、皆、うちに立派なお家があるので、帰ってくるのかなと思って。あと、私が思うには、団塊世代の孫が増えていると思っているんですけど。
下権現神社に設えられている笠置神社遥拝所
語り場の池戸夏美さん
坂折集落の氏神である下権現神社境内の杉の巨木
仲秋の名月の翌日、笠置山の上に昇った十六夜の月
中野方小学校の子どもたちが描いた「中野方かるた」の絵
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