2014年(平成26年)9月・秋 37号

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最初に口火を切ったのは、仁くんだった。突然思い付いたように「ヒカリゴケ」と口にすると、みんなが一斉に「あああっ」と頷く。「コケが光ってるんです」「笠置山の岩の中にあって、天然記念物なんです」と、我先に言い始める。

中野方町で生活していて、一番思い出に残っていることを聞いている時だ。

次は諒くんが口を開いた。

「中野方川で捕ったウナギを食べたことがあります。誰かのお父さんが、30センチくらいの木の棒に1メートルくらいの糸が付いてて、それに釣り針が付いてて、その木の棒を石の下に挟んで、夕方、仕掛けて捕ったんです。買ってきたウナギを蒲焼きにして食べた時、そん中に捕った天然のが一匹入ってました」

川の関連で、あいさんが、1年生の時の夏休みを思い出したようである。

「お母さんとかうちのお兄ちゃん、それに奈津穂ちゃんも一緒に、不動滝が流れてる下の所で泳いだことがあるよね。あそこは、陽が入らんもんで涼しくて気持ちいいです。飛沫が飛んできて。夏休みの時、結構行った。お昼ご飯食べてからだけど、寒くなってくるんで長く居れないんです」

「不動滝の下に入って、水に打たれたことがあったけど、でっかい石とかでバーンと殴られて、頭がどうかなっちゃうような感じなんです」と、仁くん。「森を学ぼうプロジェクトで、坂折川の上の森を散歩していた時に、コケはコケなんですけど、スポンジみたいな柔らかいコケを踏んで歩いたことが忘れられない。すっごいフワフワなんです」「それに、田の神まつりっていうのが、メチャクチャきれいなんです。ローソクを点けるんですけど」。仁くんの勢いが止まらない。

すると、諒くんが良いところに気付いた。「家で野菜作っているので味が美味しいです。スーパーで買ってくるのより味が全然違います。農薬も全然使っていないし」

それまで言いたくても遠慮していた小板恵美子先生が、「学校でジャガイモ植えるって言うと、2軒、さぁーっと種芋持って来てくれる。あっという間にね。豆作るのでと言うと、あいちゃんとこのお母さんが教えに来てくれる。味噌まで造るんだよね。豆腐造ったりね。全部あいちゃんのお母さんが教えに来てくれる。野菜植えたら、おじいちゃんおばあちゃんが、すぐ走ってきて教えてくれるし。職員室にいると、おばあちゃんが木の芽持って来てくれるもんね。きれいに並べて、毎年、美味しいよ」

あいさんが補足するように「コンテツ(コシアブラ)とタラの芽」と言うと、みんなが、そうそうと言うように「コンテツ」「コンテツ」と、口にした。

再び小板先生だ。「あいちゃんのお母さんにね『朴葉(ほおば)寿司作ったで』って言って、参観日の時にね」と言い始めると、あいさんが「そうなんですか、知らない。そんなこと知らない。初めて知った」と、驚いている。

もう小板先生が止まらない。「生き物持って来てって言ったら、サワガニやしね。毛が生えたカタツムリ持って来てくれたりね。オオケマイマイと言って、本で調べたら絶滅危惧種なんですよ。もうびっくりですよ」

「サワガニは川にメチャクチャ居ますよ」と、仁くんが補足する。その言葉に促されたように「勢井後のバス停下の辺とかに、ホタルがすごい」と、みんなが一斉に言った。

毎日の生活の中で出合う馴染みの自然が、多種多様であることが伝わってくる。身の回りの小さな生命と日常的に接することで、生命の神秘、はかなさや愛おしさを、ごく自然に感じていることだろう。

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